在ルーマニア日本国大使館
Embassy of Japan in Romania
二国間関係

ルーマニア経済概況

 

 

●経済成長

ルーマニア経済は,2002~07年(EU加盟の年)の間は年平均6%前後の高成長を続けたが,2008年以降はリーマン・ショックの影響を強く受けて,消費ムードも一気に落ち込み,2008年の経済成長率は7.8%,2009年には-6.6%となった。その後,2010年に-1.1%,2011年に2.3%,2012年に0.6%の成長率を記録。2013年には,EU28か国の平均経済成長率が0.1%であったところ,ルーマニアは自動車等輸出の伸びと好調であった農業生産に後押しされ3.4%の経済成長率を達成した。2014年には国内消費も回復に向かい2.8%の成長率を記録。2015年には,干ばつの影響が危惧されるものの,順調な国内消費に牽引されて対前年比で約3%程度の成長が見込まれている。

 

●スタンド・バイ取極

ルーマニア通貨レイの為替相場の安定と財政赤字の縮小などを通じたルーマニア経済の安定を目的として,ルーマニアは2009年5月にIMF,EU及び世界銀行などの国際金融機関との間でスタンド・バイ取極を締結した。 2011年3月には,引出しを前提とせず,必要な場合にだけ引出すことができる予防的スタンド・バイ取極(期間は2年間,約36億ユーロ)を締結。

更に,2013年9月,IMF理事会によって,新たな予防的スタンド・バイ取極(2年間,約19億6,000万ユーロ)が承認され,ルーマニア政府は,引き続きIMF,EU及び世界銀行と協力して国営企業の再編・民営化,徴税の改善といった構造改革に取り組んでいる。

 

●EU基金

EU加盟の最大のメリットの一つであったEU基金については,2015年7月の時点でも吸収率が約55%程度となっている。このため,ルーマニア政府は構造改革に加えて,EU基金の吸収・活用率向上に優先的に取り組んでいる。EU基金の吸収・活用率の向上によって,更なる外国投資を呼び込み,国民1人あたりの所得がEUレベルに近づくことが期待される。

 

●財政状況

2009年からEU過剰財政赤字是正手続きがとられていたが,財政収支の改善に伴い,2013年6月に解除された。2014年の財政赤字GDP比は1.5%(EU28か国の平均はGDP2.9%)であり,また公的債務はGDP比39.8%(EU28か国の平均は86.8%)となっている。

 2014年5月,スタンダード・アンド・プアーズは,ルーマニア国債(外貨建て長期)の格付けを投資適格となる「BBB-」(見通しは安定的)に引き上げた。

 

●その他

(1)ルーマニア政府は,ルーマニアがEU議長国を初めて務める2019年1月1日を,ユーロ圏加入の目標時期に設定している。

(2)貿易収支は,EU諸国における経済の緩やかな回復,またルーマニアの貿易相手の多角化により輸出額が伸びており,貿易赤字は減少している。2014年の輸出は466億ユーロ,輸入は521億ユーロであった。

(3)ルーマニア中央銀行は政策金利を引下げて国内消費の刺激に努めており,2014年5月から政策金利を1.75%で据え置いている。

(4)インフレ率は下降傾向にあり,2014年は前年同期比で歴史的に低い1.07%を記録。

(5)ルーマニアにおける民間銀行は,2013年末時点で21.9%の不良債権を抱えており,他ヨーロッパ諸国と比べても高い割合となっている。ただし,これら不良債権の多くは引当金が計上されている。

 

 

主要経済指標

 

 

2008

 2009

 2010

 2011

2012
2013

2014

経済成長率(%)
+7.8
-6.6
-1.1
+2.3
+0.6
+3.5
+2.8
経常収支(億ユーロ)
-160
-49
-55
-59
-58
-15
-6
物価上昇率(%)
7.8
5.5
6.0
5.7
3.3
3.9
1.0
失業率(%)
4.4
7.8
6.9
5.1
5.5
5.6
5.2
貿易収支(億ユーロ)
-181
-67
-58
-74
-73
-34
-5.5
輸出(億ユーロ)
336
290
372
450
450
495
466
輸入(億ユーロ)
518
357
431
524
523
529
521
対外債務(億ユーロ)
17
27
37
44
50
54
57
財政赤字(億ユーロ)
79
106
84
12
39
32
28

出典:中央銀行,国家統計局,公共財務省

 

 

 

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