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日本ルーマニア間の経済関係
(2008年7月現在)
1.概要
2.両国間貿易
3.我が国の直接投資
4.当地進出日系製造業企業一覧
1.概要
Ø
日・ルーマニア二国間経済関係は、両国が持つ潜在的可能性に鑑みれば、物理的隔たりの影響もあり貿易量こそ十分とは言い難いが、ルーマニアの一昨年の欧州連合EU加盟の前頃より市場として有望視されてきており、自動車部品をはじめとして日系製造業の進出もまずまずである。ごく最近のM&Aによる企業網の拡大も含め、日系製造業企業18社25工場が操業し、約23,000人の従業員を雇用していることは、ルーマニアが日本企業にとって欧州における重要な地域のひとつとなりつつあることを示す。
Ø
これまでルーマニア自身は、EU加盟に伴う当面の法制度整備や補助金の消化・吸収など対EU関連の諸問題対応に追われている傾向が強かったが、自国の競争力強化の観点からはEU一辺倒でなく、欧州域外との関係も見直すべきとの認識も強まりつつある。
Ø
日本側民間経済団体の窓口としては日本ルーマニア経済委員会が組織されており、E&M社、伊藤忠、カルソニック・カンセイ、ジェイテクト、マキタ、丸紅、三井物産、三菱商事、三菱東京UFJ銀行、YKK(アイウエオ順、2008年4月時点)の11社が会員となっている。
2.両国間貿易
我が国の輸出(FOB)
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品目
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2005年金額(1,000ドル)
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2006年金額(1,000ドル)
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2007年金額(1,000ドル)
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2007年
構成比(%)
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|
輸送用機器
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39,205
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59,426
|
102,107
|
39.9
|
|
乗用車
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15,763
|
14,194
|
59,205
|
23.2
|
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自動車の部分品
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22,606
|
44,570
|
41,889
|
16.4
|
|
電気機器
|
73,320
|
76,449
|
79,225
|
31.0
|
|
通信機
|
6,050
|
7,315
|
8,364
|
3.3
|
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化学製品
|
4,347
|
5,778
|
6,627
|
2.6
|
|
一般機械
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27,137
|
19,658
|
36,693
|
14.4
|
|
合計
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179,703
|
188,153
|
255,737
|
100.0
|
我が国の輸入(CIF)
|
品目
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2005年金額(1,000ドル)
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2006年金額(1,000ドル)
|
2007年金額(1,000ドル)
|
2007年
構成比(%)
|
|
原料品
|
60,449
|
70,175
|
85,624
|
38.4
|
|
木材
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57,124
|
69,258
|
83,889
|
37.6
|
|
衣類・同製品
|
53,468
|
54,690
|
61,767
|
27.7
|
|
原料別製品
|
3,818
|
8,937
|
12,958
|
5.8
|
|
木製品
|
742
|
6,789
|
9,331
|
4.2
|
|
機械機器
|
11,999
|
14,248
|
21,420
|
9.6
|
|
通信機
|
1,608
|
1,646
|
1,072
|
0.5
|
|
化学製品
|
5,440
|
6,600
|
6,536
|
2.9
|
|
合計
|
155,991
|
183,658
|
223,123
|
100.0
|
[出所]輸出、輸入共に財務省(日本)統計よりジェトロ作成
3.我が国の直接投資
Ø
ルーマニアの統計によれば日系企業の資本金合計は国別で21位である。
Ø
2007年には、電動工具のマキタが工場の操業を開始(オープニングにはバセスク大統領も列席)した他、自動車部品メーカー、カルソニック・カンセイも操業を開始した。
Ø
ピテシュティ、ガラチ、ブカレスト、アラド等にオープンしたダイソー5LEIショップも今後全国的な展開が期待される。ブリヂストン・タイヤが2008年7月から販社をブカレストに設けるなど、購買力の上昇を得て、製造業だけではなく販売業でも日本企業の進出が増加している。
Ø
ルーマニアでは国営基幹産業の民営化はほぼ終了し、今後はグリーンフィールド型投資をいかに誘致していくかが課題となるが、EU加盟後も5%を超える比較的高い成長率が予想される中、日本企業の一層積極的な当地進出が期待される。
4.当地進出日系製造業企業一覧(出典:JETROブカレスト事務所)
ルーマニアに進出している日系企業(製造業)は2008年7月現在、18社25工場。
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会社名
|
品目
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所在地
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日本たばこ産業
|
たばこ
|
ブカレスト
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|
ジェイテクト
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ベアリング
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アレクサンドリア
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タカタ(*注1)
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ステアリング
シートベルト
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アラド
|
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住友電気工業/住友電装
(*注2)
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ワイヤーハーネス
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デヴァ
オラシュティエ
アルバユリア
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矢崎総業(*注3)
|
ワイヤーハーネス
|
プロイエシュティ
|
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YKK
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ジッパー
|
ブフテア
|
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矢崎総業
(*注4)
|
ジャンクション・ボックス、自動車計器および関連部品
|
アラド
|
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ソルプラス
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一般成型品・プラスチック製品
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ティミショアラ
|
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タカタ(*注5)
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エア・バッグのクッション
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シビウ
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マキタ
|
電動工具
|
ブラネシュティ
|
|
カルソニック・カンセイ
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自動車用エアコン・ラジエーター・インタークーラー
|
プロイエシュティ
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TROCELLEN (*注6)
|
発泡ポリオレフィン
|
ティミショアラ
|
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VOGT ELECTRONIC
(*注7)
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民生機器・自動車向け電子部品
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ジンボリア
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SNR RULMENTI
(*注8)
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ベアリング
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シビウ
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Flexitech RO
(*注9)
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ブレーキホース
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アリチェシュティ・ラバティニ
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フジクラACE(*注10)
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ワイヤーハーネス
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クルージュ・ナポカ
デジ(2工場)
ジボウ
クンペニ
トゥルダ
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テラピア(*注11)
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医薬品
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クルージュ・ナポカ
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その他カメラ類を生産している企業1社が進出している。
*注1、3、4、5:矢崎総業の2工場、タカタの第2工場については、現地での企業名が異なる(矢崎総業)こと、生産品目が異なる(矢崎総業、タカタ)こと等から工場ごとにそれぞれ別企業としてカウント。
*注2、10:住友電気工業・住友電装、現地法人名(企業名)がひとつで複数の工場があり、各工場生産品目が同じため1企業としてカウント。
フジクラACEも同様。
*注6:古川電工と大塚化学が合同で、独トロセレン社を買収した(2005年)。
*注7:スミダコーポレーションによる独「VOGT Electronic
AG」のTOBが行われた(2006年)。
*注8:NTN株式会社が仏ルノーの100%子会社SNRに、資本参加した(2006年)。
*注9:三菱商事・明治フローシステムの持株会社フレキシテック・ホールディング(株)が買収(2007年)。
*注11:第一三共製薬がインドの製薬会社ランバクシー・ラボラトリーズを買収し、ランバクシー所有の工場が第一三共製薬の傘下に入った(2008年)。
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