日本ルーマニア間の経済関係
概要
日・ル経済関係は、両国の潜在的可能性に比べて貿易量、投資額などは十分と言い難いが、日系企業の自動車部品会社等、当地の雇用に繋がる大型の投資は増えている。また、新政権発足後の2005年3月にヴィンクレル通商大臣が訪日し投資誘致に努めたが、同大臣は2006年3月にも再訪日し政府高官・企業団代表と会談した他、同大臣の参加の下、大阪にて日本ルーマニア投資セミナーが開催され、インフラ、エネルギー、環境、金融・銀行産業、観光といった分野に関心を持つ50を超える日本企業が参加した。2006年2月現在、ジェイテクト、三井物産、伊藤忠商事、三菱商事等の企業が日本ルーマニア経済委員会会員となっている。
両国間貿易
これまでの日・ル間の経済関係は、両国の潜在的可能性に比べて貿易量、投資額ともまだ十分とは言えないものの、全国に13社17工場18,000人の雇用を創出している我が国製造業のプレゼンスは決して低くはない。
2007年には、電動工具のマキタ新工場が操業を開始(オープニングにはバセスク大統領も列席)した他、ピテシュティ並びにガラチにオープンしたばかりのダイソー5LEIショップも今後全国的な展開が期待される。また、現在工場を建設中の自動車部品メーカー、カルソニック・カンセイも操業開始目前となっている。
ルーマニアでは国営基幹産業の民営化は一段落し、今後は実質的な経済発展が課題となるが、EU加盟後も5%を超える比較的高い成長率が予想される中、日本企業の一層積極的な当地進出が期待される。
日本貿易振興会JETRO、財務省出所の資料等によれば、両国間貿易の最近の傾向は次の通り。
主な経済指標 |
|
|
|
2005年 |
2006年 |
実質GDP成長率 |
5.70% |
7.70% |
インフレ率 |
8.60% |
4.90% |
輸入(億ユーロ) |
222億ユーロ |
258億ユーロ |
輸出(億ユーロ) |
325億ユーロ |
407億ユーロ |
貿易収支 |
-103億ユーロ |
-149億ユーロ |
経常収支 |
-99億ユーロ |
-68億ユーロ |
対外累積債務 |
29億ユーロ |
34億ユーロ |
財政赤字 |
-56億ユーロ |
-23億ユーロ |
失業率 |
5.90% |
5.20% |
我が国の輸出(FOB) |
|
|
|
品目 |
2005年金額(千ドル) |
2006年金額(千ドル) |
2006年構成比% |
電気機器 |
73,320 |
76,499 |
40.7 |
輸送用機器 |
39,205 |
59,426 |
31.6 |
一般機械 |
27,137 |
19,658 |
10.4 |
金属及び同製品 |
11,987 |
11,128 |
5.9 |
合計 |
179,703 |
188,153 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
我が国の輸入(CIF) |
|
|
|
品目 |
2005年金額(千ドル) |
2006年金額(千ドル) |
2006年構成比% |
原料品 |
60,499 |
70,175 |
38.2 |
繊維製品 |
53,922 |
55,168 |
30.0 |
機械機器 |
11,999 |
14,248 |
7.8 |
木製品 |
742 |
6,789 |
3.7 |
化学製品 |
5,440 |
6,600 |
3.6 |
家具 |
655 |
4,181 |
2.3 |
鞄等 |
1,919 |
2,070 |
1.1 |
合計 |
155,991 |
183,658 |
|
当地進出日系企業(製造業)
ルーマニアに進出している日系企業(製造業)は2006年2月現在9社。今後2社の増設または新設にて11社となる予定。
当地進出日系企業(出所:JETROブカレスト事務所)
会社名 |
品目 |
所在地 |
日本たばこ産業 |
たばこ |
ブカレスト |
ジェイテクト |
ベアリング |
アレクサンドリア |
タカタ(*注2) |
ステアリング シートベルト |
アラド |
住友電気工業 住友電装 (*注1) |
ワイヤーハーネス |
デヴァ オラシュティエ アルバユリア |
矢崎総業(*注2) |
ワイヤーハーネス |
プロイエシュティ |
YKK |
ジッパー |
ブフテア |
矢崎総業 (*注2) |
メーター類 ジャンクション・ボックス |
アラド |
ソルプラス |
一般成型品・プラスチック製品 |
ティミショアラ |
*その他カメラ類を生産している企業1社が進出している。
増設中の企業
会社名 |
品目 |
所在地 |
タカタ(*注2) |
エアバック用生地(予定) |
シビウ |
新設中の企業
会社名 |
品目 |
所在地 |
マキタ |
電動工具(予定) |
ブラネシュティ |
*注1:住友電気工業・住友電装については、3工場全ての生産品目が同じため1企業として計算
*注2:矢崎総業、タカタの第二工場については、現地での企業名が異なる(矢崎総業)こと、また生産品目が異なる(タカタ)こと等から別企業として計算。
戻る
|