イオン・クレアンガ高校の「若葉祭り」 駐ルーマニア日本国大使 津嶋 冠治
イオン・クレアンガ高校の日本語の生徒さんは昨年には「桃祭り」を催してくれました。今年は「若葉祭り」と題して、昨年と同じく各教室を使って、書道、生け花、囲碁、風呂敷の使い方、和紙人形などのワークショップが繰り広げられました。

この催しは今回で5回目になります。ありがたい話です。今回の催しで画期的なのは、今までいたJOCV(海外青年協力隊)が出て行ってしまって、イオン・クレアンガの生徒たちだけでこのお祭りを乗り切ったことです。すばらしい功績です。拍手を送りたいと思います。私は開会式で挨拶して、「若葉はこの季節日本でも麗しく眺められています。ついでですが、イオン・クレアンガ出身のカメリアさんが日本の弘前にいて、若葉と染井吉野の下で楽しんでいる写真を見てください」といって、カメリアさんが弘前大学の剣道部にも所属してがんばっている写真を紹介しました。

その後私はフロリカ校長と会談し、今後とも日本語や日本文化教育の継続をお頼みするとともに、大使館としても協力していきたい旨述べました。
書道、生け花、和紙人形、風呂敷などのそれぞれのワークショップではクレアンガ高校生徒が教え、囲碁教室ではヨーロッパ唯一日本棋院公認のプロ、ツァラーヌさんが教えていました。教わりに来ていた人たちは生徒の知り合いや近所の子供たち、それぞれの両親、家族などでした。中にははじめて日本のものに接する人もいたでしょうし、何回目かの人もいたでしょう。この人たちの間から、日本に対する興味がわき、そのために日本語を開始する人もでてきましょう。こうした展望があることはすばらしいことです。とかく、「日本のことは日本人でないとわからない」という態度に閉じ込められがちな私たちにとって、ルーマニアの若い人たちが立派な日本観を抱き、それからも何らかの形で持ち続けてもらうことはすごく大事なことです。こうした外国の若者に刺激されることも日本の発展の原動力の一つです。
「若葉祭り」の圧巻は20日の午後の生徒たちの日本語劇「竹取物語」でした。竹取のおきながかぐや姫を拾って自分の娘として育て、結婚相手にはいろいろな実現不可能な難題を課したあと、結局月に帰っていく物語を、約5場に分けて演じるのです。その場ごとにそのときに演じられるシーンをきものを着たかわいい女学生がルーマニア語で説明しました。そのあとは芝居で全部日本語でせりふをしゃべります。日本のお客がいればよかったのですが、この日いた日本人は私と宮川所長とJOCVの二股さん、バカウから駆けつけたJOCVの結城さんでした。もう少しきてもらったら演ずる生徒さんもやりがいがあったろうにと思いました。そのかぐや姫の芝居の後に生徒たちの軽やかな日本の若者の歌5曲ほどの合唱があって、ハミド嬢による琴演奏のあとにフィナーレを飾る浴衣と着物ショーが行われました。着物の着付けは自分たちでやったとの話ですが、比較的バランスよく着こなしていました。
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