ルーマニア大統領による緊急事態宣言の発令

2020/3/16
緊急事態宣言の原文(ルーマニア語)PDF

以下、緊急事態宣言の仮和訳。
この日本語訳は,当大使館で取り急ぎ作成したもので,十分正確とは限らない恐れもありますので,御留意をお願いします。
 
【要点】
●緊急事態の大統領令は,即時に発効。30日間有効。即時に適用される措置と,段階的に適用される措置とがある。
●即時に適用される措置には,必要な資材と機材の徴用を可能とすること,医薬品や基本的食料や光熱費の価格の抑制,影響を受ける雇用者や労働者への手当て,ストライキの禁止,裁判の停止や短縮化,学校の休校,フェイクニュースの取締まり,予算の再編等が含まれる。
●段階的に適用される措置には,町や地域の隔離,国境地点の段階的な閉鎖,交通の停止や行動制限,ホテルやレストランの閉鎖,医薬品等の供給調整等が含まれる。
 
【本文】
緊急事態期間のルーマニア政府機関による措置
 
1.総論
(1)緊急事態は,30日間、ルーマニア全土で効力を有する。
(2)緊急事態の期間には,以下の権利と自由が制限される
 移動の自由,プライバシーと家族生活の権利,住居不可侵,教育の権利,集会の権利,個人の財産の権利,ストライキと経済的自由の権利
(3)リスク・マネジメントに係る政府決定557/2016により,新型コロナウイルス(COVID19)に起因する緊急事態の医療及び市民の保護に係る措置は,内務省により、その緊急事態総局を通じて総合的な調整が行われる。
 
2 即時に適用される主要な緊急措置(大統領令の別添(Annex)1)
(1)公共秩序
ア 地方警察は、(機能として)内務省の指揮下に入る。
イ 内務省の要請により,国防省は,地域の保護,特定の行動のための資材や技術的装置の輸送,疫学的な仕分け(トリアージュ),医療支援その他の支援を提供する。
ウ 緊急事態期間には,国防,公共秩序,公安の全ての機関が効果的にCOVID19に対応できるよう,軍事演習やシュミレーションは停止する。
 
(2)経済
ア 政府は,COVID19により影響を受けた経済活動を支援するための特定の措置をとることができる。
イ 中央政府は,疫病と闘うために必要な資機材を徴用できる。また,同様に,必要な資機材を直接に購入できる。
ウ EU基金の受益者でこの大統領令で適用される緊急措置により影響を受ける者は,監督省庁と共に,法律に従った契約の停止を決定することができる。
エ 経済・エネルギー・ビジネス環境省は,要請があれば,COVID19の関連で影響を受けた経済主体に対して,証拠書類に基づき「緊急事態証明書」を発行する。
オ 国のエネルギー・システムに必要なサプライチェーンの維持及び公共のユーティリティ(上下水道等)の機能の継続を確保するための措置が講じられる。
カ 医薬品及び医療機器,基本食料品,公的なユーティリティ・サービス(光熱費,ガス料金,水道,下水道,炭)の価格は,緊急事態以前3ヶ月間の平均価格を上限として抑制できる。
 
(3)健康
ア ルーマニア内にある全ての人が,COVID19及びその併発症の治療のための医療を享受する。
イ 自宅隔離下にいる人々への支援は,(保健省の決定に基づき)地方政府機関により行われる。
ウ 内務省,医療・社会保障ユニットは,COVID19の拡散を防ぐために,必要に応じ、新たな人員(医師,補助員,薬剤師等)を試験を経ずに6か月間の契約で雇用できる。
 
(4)労働・社会保障
ア 政府は,COVID19の危機によって影響を受けた雇用者及び被雇用者に対し,適用されている法律の条項の免除をして支援することができる。
イ 緊急事態期間中,公的機関の決定に基づき完全に又は一部の活動が停止された経済セクターの被雇用者及びその家族に対し,労働社会保障省の決定に基づき,特別な社会保障措置がとられる。
ウ 公的機関及び民間企業は,可能な場合には、テレワークを導入する。
エ 地方労働基準査察局による全ての査察活動は,緊急事態総局の決定の適用に関するもの等以外は停止される。
オ 緊急事態期間中,エネルギー関連,原子力関連,保健・社会保障,通信関連,公共放送関連,鉄道運輸,公共交通関連,下水道関連,ガス,電気,暖房,水道分野においては,集団労働闘争(当館注:ストライキ)やその宣言が禁じられる。
カ 社会保障の支給の申請書は,電子的にも提出できる。
キ 例えば母性や障害者関連等の一定の証明書類については,緊急事態期間に有効期間が切れる場合にも,緊急事態期間中は有効期限が延長される。
 
(5)司法
ア 緊急事態期間中は,時効期間の計算が停止される。
イ 司法活動は,破棄院の決定により特別な体制で行われ,短期間で行われる(同日の判断もあり得る)。
ウ 裁判は,可能な限りビデオ会議で行われる。
エ 民事訴訟は,緊急のものを除き停止される。
オ 刑事訴訟は,予防的な措置が必要なものを除き停止される。
カ 刑務所には,訪問の禁止,労働,学習,物品受領等において特別な規則が適用される。
 
(6)外交
 外務省は,以下の事項を遂行する。
・EU,欧州評議会,NATO,国連により開催される会議において、テーマにかかわらずルーマニアを代表すること
・適用した措置について、国連及び欧州評議会に通知すること
・関連政府機関からの情報に基づき,駐在の外交・領事団や国際機関と連絡をとること
・外交団に感染者が出た場合に,関連の国際法を遵守すること
・他の政府機関からの通報に基づき,在外のルーマニア公館との連絡を維持すること
・在外ルーマニア公館員が現地の法令に従って自主隔離や検疫の手続きに入った場合に,必要な措置をとること
 
(7)その他の措置
ア 全ての学校が,緊急事態期間中閉鎖される。
イ 中央及び地方の行政機関は,その活動を、人々の直接の接触が避けられるように組織するための、手段をとる。
【当館注】なお,関連で、3月14日,政府の緊急事態に関する特別委員会(CNSSU。
内務省主管)は,室内で行われる50人以上の参加による文化,科学,芸術,宗教,スポーツ,娯楽活動を制限する決定を行っている。これには,温泉施設,フィットネス,スパ,コスメティック,賭博,カジノにおける活動が含まれる。
ウ 内務省は,影響を受けた国民の支援のために,物的又は人的な資源の利用の提案を検討する。このために,法的に権限を有する行政機関は,物質的問題と労働力不足との解決のために,財産の接収や人員の徴用を行うことができる。
エ 公共機関及び民間企業は,COVID19の情勢進展に関し全国レベルで行われる措置及び行動についての、公共の周知活動に貢献する。
オ 公的機関は,COVID19の情勢についてのマスメディアやオンラインにおける「フェイクニュース」に対抗する。コンテンツ供給者は,COVID19とその予防に関するフェイクニュースが放送された場合,国家通信管理規制庁の決定により,それを削除する義務がある。
カ ルーマニア政府は,必要な財源の確保のために,緊急的な予算の再編を行う。
 
3 段階的に導入される主要な緊急措置(大統領令の別添2)
(1)リスク地域からルーマニアに到着する人々及びそれらと接触した人々の、隔離。建物,自治体、または地域についての、封鎖措置。
(2)国境地点の段階的な閉鎖
(3)特定の地域との間での,または一定の時間帯の,車両又は人間の往来の制限又は禁止,若しくはその地域からの外出の制限
(4)道路、鉄道,海運,河川,航空及び地下鉄交通の、段階的な制限
(5)レストラン,ホテル,カフェ,クラブ,カジノ,各種協会の本部事務所,その他の公共の場所の、一時的な閉鎖
(6)水道,エネルギー,ガスの供給施設,全国的に戦略的重要性を有する機能の、警備・警護の確保
(7)COVID19の治療のための防護機材、消毒薬,医薬品の,在庫,生産,配給の能力の確認と入手
(8)公立病院の入院及び緊急活動の制限