第30回シビウ国際演劇祭における日本からの劇団による公演のご案内

令和5年6月22日
 6月23日~7月2日にシビウ国際演劇祭が開催されます。30周年を迎える本演劇祭には、今年も日本から複数の劇団が参加します。ご関心のある方は是非ご鑑賞ください。最新情報は公式サイトにてご確認ください。
出演団体・個人及びイベント概要についてはFITS公式サイト及び当館FBも合わせてご確認ください。

公演スケジュール

6月23日(金)
19:00 串田和美・自由劇場 「Faust in the Moonlight Night 月夜のファウスト」
(Gong Theatre Downstairs Hall、1h15m)※要チケット

 
                               ©️Akio Kushida
串田和美

 演出家・俳優。1942年、東京生まれ。1966年劇団自由劇場(のちにオンシアター自由劇場と改名)を結成。1985~96年シアターコクーン初代芸術監督。2003年まつもと市民芸術館芸術監督に就任。歌舞伎、サーカス、現代劇を、劇空間ごと既成概念にとらわれない手法でつくりあげている。芸術的・学術的な貢献により2008年、紫綬褒章、2013年、旭日小綬章受章。シビウ国際演劇祭総監督のキリアック氏から、「日本の舞台芸術のあり方を変えた人物であり、日本で最も複雑な芸術家であり、新しいものや対話に対して最もオープンである」と称され、2015年、同演劇祭において舞台芸術分野に功績のあった人物に贈られる「ウォーク・オブ・フェイム」を受賞。

 本年上演される「月夜のファウスト」は串田氏の遠い記憶の数々と中世ドイツの民衆が描いた錬金術師ファウスト博士の幻想が綯い交ぜになった一人芝居で、串田氏が作・演出・美術を手がけ出演もする。「悪魔と人間を分かつものは何か?」3人の歌舞伎の黒衣のようなアシストと、紙で作った幻燈や人形も登場し幻想的な世界へと誘う。
 
 
6月24日(土)
12:00 串田和美×Matei Vișniec 対談
(Sibiu State Philharmonic、1h)※入場無料
16:00 串田和美・自由劇場「Faust in the Moonlight Night 月夜のファウスト」
(Gong Theatre Downstairs Hall、1h15m)※要チケット

6月28日(水)
22:00 夏木マリ・印象派NÉO vol. 4「The Miracle of Pinocchio ピノキオの偉烈」
(Fabrica de Cultura- Construcții SA - UniCredit - Eugenio Barba Hall、1h 30min)※要チケット


夏木マリ

 東京都出身。73年歌手デビュー。80年代から演劇にも活動の場を広げ、芸術選奨文部大臣新人賞などを受賞。 93年から企画、構成、演出、出演を自身が手がけるコンセプチュアルアートシアター「印象派」を立ち上げ、エディンバラ、アヴィニヨンなどの名だたる演劇祭に参加。09年パフォーマンス集団MNT(マリナツキテロワール)を立上げ主宰。俳優、演出家、声優、歌手、そして後進の指導を通じてエンターテイメント界の第一線を走り続ける。
シビウ国際演劇祭同様本年30周年を迎える印象派NEOによる「The Miracle of Pinocchio(ピノキオの偉烈)」は童話の残酷性と現代社会のアンチテーゼを演出コンセプトに、「ピノキオ」を題材にした作品。同演劇祭から熱烈な招待を受けながら、パンデミックによる公演延期を経て、遂にルーマニアで上演される。
印象派NEO公式サイト:https://inshouha-neo.com/


6月29日(木
14:00 建築家・隈研吾×小説家・林真理子 対談
     モデレーター:Octavian Saiu
    (Sibiu State Philharmonic、1h)※入場無料



隈研吾

 1954年生。1990年、隈研吾建築都市設計事務所設立。慶應義塾大学教授、東京大学教授を経て、現在、東京大学特別教授・名誉教授。30を超える国々で建築作品を手掛け、日本建築学会賞(the Architectural Institute of Japan Award)、自然木建築賞(the Spirit of Nature Wood Architecture Award)(フィンランド)、国際石造建築賞(the International Stone Architecture Award)(イタリア)など、権威ある賞を受賞している。自然と技術と人間の新しい関係を切り開く建築を提案する。2021年に開催された東京五輪のメインスタジアムである国立競技場の設計に携わったことでも知られる。公式HP:https://kkaa.co.jp/



林真理子

 1954年山梨県生まれ。学校法人日本大学理事長。日本文藝家協会理事長。日本大学芸術学部卒業後、コピーライター、衝撃的なエッセイの執筆を経て、小説家となる。1986年に第94回直木賞を受賞し、その後も数々の著名な文学賞を受賞。2011年にフランス・レジオン・ドヌール勲章シュバリエを受章、2018年、日本の紫綬褒章を受章した。
2019年の日本皇室移行を見据えた日本政府の計画の一環として、新元号の名称案について専門家の意見を提供する委員会の委員を務める。週刊文春(日本で最も有名な週刊誌)』でのエッセイ連載回数が1,655回(2020年7月2日現在)に達し、「同一雑誌に最も多く掲載されたエッセイ」としてギネス世界記録にも認定された。1997年の映画『不機嫌な果実』や2018年のNHK大河ドラマ『西郷どん』をはじめ、小説やエッセイは広くテレビや映画で映像化されているほか、作品は多くの言語に翻訳され、アジアを中心に読まれている。

6月30日(金)
16:00/21:00  山本能楽堂「FAUST:tributファウスト」
(Sibiu State Philharmonic、50min)※要チケット。オンライン公演(要チケット)もあり(16:00~)。



山本能楽堂

 1918年創設。大阪で最も歴史が古く、最も革新的な活動をしている観世流宗家の直門の能楽堂。ビルのエントランスや船上での能楽や、現代アーティストとコラボレーションするなど常識にとらわれない幅広い活動を展開。シビウ国際演劇祭には2016年に初招聘を受け大成功を収めて以降、殆ど毎年参加し、観客を魅了し続けている。
同演劇祭において特別な作品であるルーマニアの奇才プルカレーテ演出の「ファウスト」。痛み、死、愛について暴力的・感情的・直感的に表現され、西洋の精神を象徴するこの物語を、それと対峙する「和の心」で解釈し、能という厳格な形(かた)に落とし込んだ新作能。能の中に伝わる日本人の美意識や世界観を伝える作品。
公式HP(日本語):http://www.noh-theater.com/

7月1日(土)
20:00 安田雅弘・劇団 山の手事情社「The Seagull」
(Gong Theatre Downstairs Hall、1h30m)※要チケット



安田雅弘

 演出家、劇団 山の手事情社 主宰。1962年東京生まれ。早稲田大学卒業。1984年劇団を結成。2009年にシビウ国際演劇祭に初参加し、これまで4作品を発表。上演のみならず2012年には同演劇祭のメイン会場である国立ラドゥ・スタンカ劇場(シビウ)の委嘱で『女殺油地獄[A JAPANESE STORY]』(原作:近松門左衛門)の演出も手掛け、同作はその後同劇場のレパートリー作品となった。 2013年にシビウ国際演劇祭で「特別賞」を受賞。



 『かもめ(The Seagull)』は湖畔の田舎屋敷を舞台に、芸術家やそれを取り巻く人々の群像劇を通して人生と芸術とを描いたロシアの作家アントン・チェーホフの戯曲。演出の安田雅弘は、「本作には退屈を住処にする[剥製になった人間]と、自分の力で運命を切り開いていけると夢想する[生きた人間]との対峙がみえる。この作品の冒頭で[生きた人間]に該当するのはトレープレフとニーナとマーシャだけで、あとは[剥製になった人間]と捉えることができる」と語っている。日本人の身体を活かした山の手事情社独自の演技様式で上演される。
劇団 山の手事情社 公式サイト https://www.yamanote-j.org/

20:00 夏木マリ・印象派NÉO vol. 4「The Miracle of Pinocchio ピノキオの偉烈」オンライン公演 ※要チケット。

シビウ国際演劇祭とは?

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 1993年から続く、英エディンバラ、仏アビニョンと並ぶ欧州三大演劇祭の一つ。75万人を超える人々が世界中から集まり、70カ国以上から約3500人らアーティストが招待され、600以上の舞台芸術が開催される。1995年から日本の劇団が招待され、2008年には故十八代目中村勘三郎率いる平成中村座による歌舞伎公演が大成功を収めるなど、これまで多くの日本の劇団が参加。また日本人ボランティアが多数参加することも知られ、シビウ市と岐阜県高山市は、演劇祭を契機に交流を開始し、友好都市協定を締結している。
公式サイト(英語): https://sibfest.ro/en/events