大使挨拶(令和6年1月)

令和6年1月22日
 皆さん、こんにちは。このたび在ルーマニア大使として着任しました片江学巳(かたえ・たかし)でございます。
 ブカレストでの勤務は初めてですが、ルーマニアは国際情勢が厳しい中にあっても経済が二年連続で約5%成長するという元気のいい国であり、自動車産業のサプライヤーやIT関連など110社以上の日系企業が進出しており、近年注目を浴びています。こうして存在感をますます高めているルーマニアとの関係の今後には大きな期待を感じております。
 日本とルーマニアは民主主義や法の支配など普遍的な価値を共有する同志国として交流のレベルを高めており、近年その関係はますます深化しています。2021年には外交関係樹立100周年という節目の年を迎え、2023年3月のヨハニス大統領による訪日の際、岸田総理との間で署名された「戦略的パートナーシップ構築に関する日・ルーマニア共同声明」により、両国の関係は「戦略的パートナー」に格上げされることとなり、関係は一層強化されました。この声明では(1)政治・安全保障協力、(2)経済・開発協力、(3)文化、科学技術、研究開発、イノベーション、人的交流、を三つの大きな柱とし、日本とルーマニアの交流や協力を活発化させていくこととされております。これからはこの首脳間で一致した各分野での課題を一つ一つ具体的に実行に移していく段階です。在ルーマニア日本国大使館としては、着実にこれらを実行に移せるよう環境整備に努めていきたいと考えております。こうした取り組みを通じ、ルーマニアと日本の共通利益の拡大、人と人との相互理解の増進、様々な分野での交流の促進に向けて全力を尽くしていきます。
 政府間の関係のみならず、2023年はこうした日本とルーマニアの関係を象徴するような目に見える成果もいくつか見られました。その一つはドナウ川にかかるルーマニア国内最長、EUでも三番目の長さを誇る吊り橋「ブライラ橋」の開通であります。同橋は日系企業が有するハイレベルの橋梁技術を用いた一大プロジェクトであり、文字通り日本とルーマニアが手を携えて協力していく「架け橋」でありました。今後もこうした形で日系企業がルーマニア経済に貢献できるようなWin-Winの経済関係を後押ししていきたいと思っております。
 また、ルーマニアで唯一残されているプロジェクト「ブカレスト国際空港アクセス鉄道建設計画」により建設中の地下鉄6号線も両国の象徴的なプロジェクトとなると認識しており、可能な限りの進捗が見られるよう尽力いたします。
 市民レベルでの交流についても、更に拡大する空間が大きいと考えます。私どもとしては双方の交流のスコープを更に広げ、多面的な交流拡大に努めていきたいと考えています。ルーマニアには多くの魅力的な観光資源があるにも関わらず、必ずしも日本でよく知られていないなど、旅行先としても魅力あふれる国であることを日本の多くの方々にアピールし、より多くの方々に訪問してもらうようお伝えしたいと考えています。こうした人と人の交流促進は相互理解を更に進め、更なる交流を生むであろうと思います。
 ルーマニアの方々の日本への関心については、近年、特に文化的な面で高まってきているようです。日本語学習者も東欧諸国の中では2 番目に多いと聞いており、これを奨励し、更に対日関心を高めるよう伝統文化からポップカルチャーまで幅広く日本の文化を紹介していくように努めていきます。ルーマニアでは音楽や演劇に関する国際的なイベントを例年開催しており、これがそれらの分野でのアーティストやそうした芸術を愛する市民間の交流にもつながっております。
 もちろん大使館としては日本人の安全の確保や日系企業の利益の保護が一丁目一番地と認識しており、在留邦人や日本人旅行者の皆様が安心して滞在できるよう万全を尽くす所存であります。
  益々厚みを増す日ルーマニア関係ではありますが、これらは皆様方のご理解とご協力なしにはなしえなかったことであり、当館としては引き続き皆様方のお力を借りながら、昨年の首脳間共同声明の実行やそのほかの分野での交流拡大に向けて努力してまいります。引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。
 
                                                                                                     駐ルーマニア日本国特命全権大使