大使レター 令和6年12月

令和6年12月6日
皆さん、こんにちは。そして、12月1日の統一記念日おめでとうございます。先日、私は統一記念日関連式典や軍事パレードに初めて出席しました。寒空の中を颯爽と行進していく兵士など国家機関の従事者たちと、それを暖かく見守る多くの市民の皆様を身近に感じ、ルーマニアの益々の躍動と明るい未来への発展を確信したところです。
 
さて、前回の大使レターを発出してから、はや5ヶ月近く経ちました。前回の大使レターにわざわざご返信を頂いた方々には、改めてこの場を借りて御礼申し上げます。
 
この5ヶ月弱の間、政治・安全保障、経済、文化などの様々な分野において日ルーマニア関係の深化に向け様々な活動が行われました。私は開発・公共事業、教育、労働・社会保障、農業・地方開発、財務分野を担当する諸大臣や会計検査院長、下院議長など議会関係者の皆様にご挨拶をし、また、ピティシュティ、ブライラ、バトラドルネィ、クルージュ、トゥルグ・ムレシュ、オラディア、ヤシ、コンスタンツァ、アレキサンドリアの各市長を訪問し、皆様と戦略的パートナーとしての関係拡大深化を深めていくことで一致し、具体的な案件についても話し合いを進めました。また、引き続きルーマニアで活躍される日系企業のビジネスマンの方々、大学をはじめとする教育関係者、ルーマニアで日本語・日本文化の普及に尽力されているルーマニア人の方々等文化関係者、ここではご紹介し切れない様々な人々と出会い、自ら活動に参加したり、その活動を目の当たりにしたり、直接触れたりすることができました。現地に赴き、現場の活動を実際にこの目で見て初めて分かること、認識することも多々あり、現場に赴いて実際にこの目で皆様方の出会い、触れ合うことの重要性を改めて感じました。
 
その中で、今回のレターでは、以下3つの出来事を中心にご紹介したいと思います。
 
一つ目は、9月1-4日の長浜参議院副議長一行のルーマニア公式訪問です。日本の参議院代表団のルーマニア訪問は、2002年の倉田参議院議長以来実に22年ぶりです。長浜副議長一行はチウカ上院議長と会談・夕食会を行ったほか、チョラク首相を表敬し、ブカレスト市内のウクライナ避難民支援センターやブカレスト国際空港アクセス鉄道建設計画(M6プロジェクト)建設現場の視察等を行いました。
 チウカ上院議長との会談では、同議長に上院議長室前の廊下まで出てきて頂いての大歓迎を受け、会談では、日・ルーマニア戦略的パートナーシップに基づき、議会間交流をはじめ様々な分野での両国間の交流の更なる発展・深化につき活発な意見交換が行われ、ロシアによるウクライナ侵略後の厳しい国際情勢の中で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けて、同じ価値観を共有する両国がより一層連携を強化していくことで一致しました。同議長主催夕食会では、予定時間を大幅に超えてウクライナ情勢から趣味のトマト栽培まで様々な話題に花が咲き、スマホの写真を見せあうなどルーマニア人のホスピタリティの高さに改めて感激致しました。
 また、チョラク首相表敬では、日・ルーマニア戦略的パートナーシップに基づき、ますます活発化する両国の、とりわけ経済分野での関係性の更なる発展・深化につき活発な意見交換が行われました。
 さらに、ブカレスト市内にあるウクライナ避難民支援センターの訪問では、ルーマニア政府関係者や当地国際機関事務所代表等からウクライナ避難民支援の現状について説明を受けるとともに、意見交換を行いました。意見交換では、ウクライナ避難民支援の継続の重要性が強調されました。また、日本の円借款等により建設が進むブカレスト国際空港アクセス鉄道建設計画(M6プロジェクト)の現場視察では、建設コンサルタント・パデコ社の日本人関係者からプロジェクト概要につき説明を受け、関係者を激励するとともに、日・ルーマニア経済協力のシンボルの進捗振りを視察しました。
ルーマニア側の非常に暖かい歓迎振りに感激した長浜副議長は、11月19日の東京で開催されたルーマニア・ナショナルデーのレセプション及び11月20日のラエツキ駐日ルーマニア大使の表敬の際に、ルーマニアで贈呈されたネクタイを2日連続でつけた上で、ルーマニア訪問時のルーマニアの人々のあたたかさや明るさがルーマニア最大の魅力である旨述べています。チウカ上院議長、チョラク首相をはじめとするルーマニア側の非常に暖かい歓迎振りにこの場を借りて改めて心より御礼を申し上げたいと思います。
 
二つ目は、日ルーマニア間で11月4日に開催された「日・ルーマニア・エネルギーフォーラム」とそのために11月3-6日の期間に実現した竹内経済産業大臣政務官を団長とした日本のエネルギー関連企業16社と政府系機関4団体の代表団のルーマニア訪問です。同訪問団は、チョラク首相、ブルドゥジャ・エネルギー大臣、イヴァン研究・イノベーション・デジタル化大臣、オプレア経済・起業・観光大臣との二国間会談も実施しました。
エネルギー・フォーラムでは、ルーマニア側から様々なエネルギー転換に向けた課題の提示があり、参加日本企業からその解決に資する技術の紹介が行われました。自分からも、開会挨拶の中で、エネルギー分野での両国間の協力は、日・ルーマニア戦略的パートナーシップの具体化に資するものであり、ロシアによるウクライナ侵略が続く中、価値観を共有する日本とルーマニアがエネルギー安全保障の分野で協力していくことの重要性を強調しました。
チョラク首相との会談では、両国間の経済関係の強化を確認したほか、チョラク首相からは、原子力をはじめとするエネルギー分野での協力やウクライナ復興支援に向けて、日本企業の技術に対する高い関心が示されました。
ブルドジャ大臣、イヴァン大臣、オプレア大臣それぞれとの個別会談では、竹内政務官と各大臣との間で担当分野での協力促進で一致しました。
今回日本の経済産業省、エネルギー関連企業16社と政府系機関4団体の合計50人以上の代表団のルーマニア訪問が実現したこと自体が、日本企業のルーマニアへの関心の高さの表れと考えます。また、ルーマニア側も、チョラク首相への表敬に、ブルドゥジャ大臣、イヴァン大臣、オプレア大臣の3閣僚が同席するなど、ルーマニア側の関心の高さも感じました。是非、今回の訪問が、エネルギー分野での日本企業とルーマニア企業の具体的案件につながることを希望します。
 
三つ目は、文化交流イベントです。中でも11月21日のルーマニア国立美術館東洋美術ギャラリーのオープンは何十年越しのプロジェクトでした。様々な関係者のご尽力によって待望のオープニングにこぎ着けました。トゥルカン文化大臣やロマシュカヌ前文化大臣の他、植田大使、石井大使もこのためにわざわざ日本からお越し頂きました。この場を借りて、開設に尽力された全ての関係者に謝意を表明したいと思います。このギャラリーによって日本をはじめとしたアジア諸国とルーマニアの文化交流が一層促進されることを期待します。同ギャラリーでは、所蔵のアジア等の美術品が展示されますが、日本関係コレクションは数多く、2018年の安倍総理(当時)ルーマニア訪問時に昭恵夫人によって開設された日本茶室もあります。皆様も是非お立ち寄りください。
また、11月26日に開設されたルーマニア文化研究所東京支部の開設は昨年3月の日ルーマニア首脳共同声明の具体化の一つであり、その他、9月の東欧コミコン(於ブカレスト)、10月から12月の国際交流基金巡回展(於ヤシ)、11月の日本映画祭(於ブカレスト、コンスタンツァ)などなど、日ルーマニアの人々の間の文化交流イベントは活発化しています。
早いもので、本年も残すところあと1ヶ月となりました。ルーマニアでは11月24日の大統領選挙第1回投票、12月1日の議会選挙、12月8日と選挙シーズンであり、サプライズもありました。日本でも総理が交代し、10月27日に総選挙があり、11月から新たな内閣が発足していますが、日本のルーマニアとの戦略的パートナーシップを具体化・深化させていこうとのコミットメントは不変です。ルーマニアの新政権も同様に、日本との戦略的パートナーシップへの支持が続くものと確信しております。
 
最後に10月11日には、昨年の防衛駐在官の派遣再開以来二回目となる自衛隊記念日レセプションを開催し、多くの関係者の方にお越し頂き、改めて御礼申し上げます。各分野において益々に多種多様化し厚みを増す日ルーマニア関係を、今後ともより一層促進していく所存です。来年はいよいよ4月から10月まで大阪・関西万博2025が開催され、日ルーマニア関係の進展に新たな可能性が開けております。皆様引き続きどうぞ宜しくお願い申し上げます。
 
Wishing you a successful New Year!
 
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駐ルーマニア日本国特命全権大使
 
 
片江 学巳