大使挨拶

令和6年12月6日

大使レター

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皆様、こんにちは。Bună ziua tuturor din România,
 春の訪れと共に、ルーマニア各地に新たな活気が感じられる季節となりました。前回の大使レターから数ヶ月が経ちましたが、その間にも日ルーマニア関係は一層の広がりと深まりを見せております。
まず、2月21日に開催した天皇誕生日祝賀レセプションについてご報告申し上げます。コンスタンティネスク元大統領、プレドイウ副首相兼内務大臣、ブクラ゠オプレスク労働・家族・青年・社会連帯相、イヴァン経済・デジタル化・起業・観光相、オプレア首相補佐官をはじめ、クルージュやヤシなど地方都市からも含め総勢500名を超えるご来賓の方々にお越しいただき、改めまして厚く御礼申し上げます。当日は、初めてとなるマドリガル合唱団による国歌の斉唱も披露され、ルーマニアの文化との融合も実現し、両国の絆の深さを改めて実感いたしました。また、日本文化に触れる展示のほか、和食や日本酒・日本産ウィスキーなどの提供、ホンダ、スズキ、ヤマハのバイクやスズキ、トヨタの自動車の展示などを通じ、日本の多様な魅力と技術を体感いただく機会となりました。私自身の挨拶の中では、今年満65歳を迎えられる天皇陛下の御製を紹介しつつ、本年日本で開催される大阪・関西万博に触れ、「いのち輝く未来社会のデザイン」を実現するとの理念の下、万博がロシア等による国際秩序への挑戦が継続する中で、世界が分断を超えて未来を共創する場となるとの意義を強調しました。
 1月には当館とルーマニア外務省でその万博について「大阪・関西万博キックオフ記者会見・レセプション」を挙行しました。記者会見では私たちからは、万博の理念や意義や各種行事について、ノギ国際万博ルーマニア政府代表からはルーマニア・パビリオンの設計と計画についてご説明し、続くレセプションでは、コルラツェアン上院外交委員長、オドベスク首相補佐官、ボルベリ首相補佐官が日ルーマニア関係における万博の重要性についてご挨拶を頂き、参加者同士の活発なネットワーキングも行われ、今後の万博等の場における日ルーマニア連携への期待が一層高まりました。「大阪・関西万博」は4月13日から10月13日まで大阪・夢洲で開催され、日本開催としては最大の約158カ国・地域と9国際機関の参加、約2,820万人の来場が見込まれるイベントです。持続可能な開発目標(SDGs)との連携を目指し、世界中の参加者が「誰一人取り残さない」未来社会の構想を共有し、交流することを目的としています。万博のテーマウィークやナショナルデー等を通じ、世界中との出会いや発見(Serendipity)が生まれることを期待しています。ルーマニア・パビリオンは「魔法箱(The Magic Box)」をテーマに、イオン・ミンク建築・都市大学の学生が設計を手掛けたものです。テーマである「生命を救う(Saving Lives)」は、持続可能な未来へのコミットメントを象徴し、ペリカンのキャラクター「ハル」は生態系の保全と環境保護を体現しています。6月26日が万博におけるルーマニアのナショナルデーであり、ジョルジェ・エネスク交響楽団、マドリガル合唱団、国立オペラ、ヴィオロンチェリッシモ等の文化関係団体や極限レーザー核物理研究所(ELI-NP)等の科学・学術分野関係者や経済ミッション等が訪日する予定です。本万博はルーマニアと日本の戦略的パートナーシップ深化の象徴とも言える重要な機会といえます。ぜひとも多くのルーマニアの方々にこの機会に訪問いただきたいと思います。今後も、このような多角的な協力が、戦略的パートナーシップの深化に資することを確信しております。なお、ルーマニアの万博への参加を記念して、日本の回転寿司チェーンがパパナシを特別メニューとして提供するとの話を聞いたので一時帰国時に早速試食してみました
 3月半ばには在欧州の日本大使会議が東京にて開催された際には、大阪を訪れ吉村大阪府知事などの関係者と、武蔵野市を訪れ小美濃武蔵野市長などの関係者とそれぞれルーマニアとの交流促進について話し合いました。私はこの3か月、デバプロエシティブザ、シゲトゥ・マルマツィ、バイア・マーレ、シビウ、ブラショフなど地方都市を回り、大阪・関西万博について宣伝するとともに地方同士の交流促進のための話し合いを行ってまいりました。引き続き地方都市間の交流を促進するよう尽力したいと思います。
 ロシアのウクライナ侵略が4年目を迎えるなど依然として国際秩序・法の支配・民主主義への挑戦が継続する中、現在、国際情勢はダイナミックに動いており、日本外交も欧州とインド太平洋の安全保障が不可分であるという認識のもと、同志国で戦略的パートナーとなったルーマニアと協力し対応しているところですが、1月には国防大学で、3月にはバベシュ・ボヨイ大学シゲトゥ・マルマツィ分校において、こうした日本外交について講演させていただく機会を得ました。ルーマニアの在日大使館はこの1月から日本と北大西洋条約機構(NATO)との連絡役となるコンタクト・ポイント大使館となり、当面日本とNATOとの政治・安全保障協力面で日本外交にとって重要な役割を果たすことになっており、こうした政治・安全保障面の協力がますます緊密になっていくことも期待しております。
経済・科学技術面でも両国の協力は着実に成果を挙げております。特にM6地下鉄プロジェクトは着々と進んでおり、近くTunnel Boring Machine(TBM)により発進立坑からの掘削が開始される予定です。また、科学技術面での代表的なプロジェクトとなるELI-NPプロジェクトでは、2023年3月に両国首脳立会いの下、署名された覚書に基づく光学センター建設工事の契約署名式がボロシュ財務大臣兼開発・公共事業・行政大臣(当時)及びイヴァン研究・イノベーション・デジタル大臣(当時)出席の下、昨年12月行われ、私も出席しました。更には、日本人アーティストによる音楽演奏など、文化芸術を通じた市民間交流などもルーマニア各地で行われており、いずれも日ルーマニアの戦略的パートナーシップの実践例であり、今後もこれらの分野をさらに強化してまいります。このような取組みの推進は、ひとえに皆様のご理解とご支援があってこそ実現するものです。今後とも皆様と共に、より強固で実りある日ルーマニア関係を築いてまいりたいと存じます。
 最後に、日本では「三人寄れば文殊の知恵」と言いますが、ルーマニアでは三人集まれば、ワインとパリンカで乾杯が始まり、ミチとサルマーレを囲んで話に花が咲くということがわかりました。また、最近では、ルーマニアで“最も美味しい”と評判のDedulesti村のミチをしっかり味わいマラムレシュでは薪割りや木彫りに挑戦するという、思い出深い体験にも恵まれました。
4月にはブカレスト・ヘラストラウ公園で恒例の花見イベントも開催されます。皆様とのこうした心温まるひとときを、これからも大切にしてまいりますので、どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。
 
駐ルーマニア日本国特命全権大使
片江 学巳

 
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駐ルーマニア日本国特命全権大使
 片江 学巳