大使挨拶

令和7年4月10日

大使レター 令和7年7月

   皆様、こんにちは。Bună ziua tuturor din România,
 いよいよ夏本番となって参りました。まずは、この度のダン大統領の就任とその下でのボロジャン首相を首班とする政府が発足しましたことを心からお喜びします。

  さて前回ご報告した以降も日ルーマニア戦略的パートナーシップにはさらなる進展がありました。
  4月13日には待ちに待った大阪・関西万博2025が開幕し、同時にルーマニア・パビリオンがオープンしました。万博では「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとして日本のみならず世界各国が幸せな未来に向けた展示を行っており、ロシア等による国際秩序への挑戦が継続する中で、世界が分断を超えて未来を共創する場となります。これらはSDGsの目標年2030年の5年前に当たることからサステナビリティの観点からの意義も大きいと考えています。また、ルーマニアの皆さんにとっても、日本人をはじめとする世界中の人々にルーマニアの良さを宣伝する絶好の機会です。すでにルーマニア各地からのビジネス・ミッション等が予定されていますが、私たちとしては、この機会にルーマニアのより多くの方々に是非万博を訪問頂きたいと思っています。
  また、去る6月26日には、万博におけるルーマニア・ナショナルデー祝賀行事が開催されました。パビリオンをもつほとんどの国がそれぞれのナショナルデーに大統領等のハイレベルの代表を派遣頂く中、ルーマニアからはアブルデアン上院議長が代表として訪日して日本側の代表、大串経済産業副大臣(日本ルーマニア友好議員連盟事務局長)とともにその日を祝って頂きました。そして、同上院議長は額賀衆議院議長、生稲外務大臣政務官西村元経済産業大臣等の日本側関係者や経済団体連合会などのビジネス関係者と精力的に会談を行い、ビジネスフォーラムにもご出席頂き、日ルーマニア戦略的パートナーシップの深化に貢献して頂きました。

  外交・安全保障面では、5月下旬に新戦略センター主催で黒海とバルカンの安全保障フォーラムが開催され、日本から吉田国際問題研究所長がご出席され、日本の立場を発信頂きました。ルーマニアからは、同時期に日本で開催された防衛装備品展示会(DSEI JAPAN)にルーマニア海軍艦隊司令官(Romanian Naval Fleet Commander)のご出席があったことは大きな喜びです。ロシアのウクライナ侵略が4年目を迎え、依然として国際秩序・法の支配・民主主義への挑戦が継続する中、黒海・バルカン地域などルーマニアを取り巻く地域の安全保障情勢はインド太平洋地域と不可分の状況にあり、このような機会が両国でのますますの理解促進の機会となることを期待します。また、私も4月7日「新大西洋パラダイムにおけるウクライナ再建」会議に出席し、その際のスピーチではこうした国際情勢の下でのルーマニアを含めた同志国との国際協調の重要性を改めて強調しました。

  経済面でも様々な進展が見られました。日本が一部資金協力を行っているM6地下鉄プロジェクトは南区間でついに発進立坑からのトンネル掘削機による掘削が開始され、その発進セレモニーが当時のチョラク首相、グリンデアヌ運輸・インフラ相出席の下、執り行われ、私も出席し祝辞を述べました。ブカレストの人々の生活と持続可能な開発に資するこのプロジェクトを日本として支援できることは大変喜ばしく、M6が日ルーマニアの間の戦略的パートナーシップの象徴としてルーマニアで愛されることを期待しています。
  6月23日、加藤経済産業大臣政務官が率いた20を超える日系企業等の経済ミッションがルーマニアを訪問し、運輸・インフラ省、エネルギー省及び経済・デジタル化・起業・観光省の関係者と意見交換を行うビジネス対話2025が開催され、私も参加しました。同政務官は同日、指名直後で正式就任間近のボロジャン新首相やプレドイウ首相代行に表敬した他、ビルチャル戦略的パートナーシップ担当大統領顧問、ブルネッテ経済担当大統領顧問、アナスタシウ名誉経済担当大統領顧問(当時、現副首相)等と会談し、日ルーマニア・ビジネス協力を新たな体制の下で進めていくことについて意見交換がなされました。

  文化面では、4月12日、恒例の大使館主催行事第6回「花見」が多くの大学や関係機関のご協力を得て、ミハイ一世公園(ヘラストラウ公園)内の日本庭園で開催されました。空手、和太鼓、合気道の迫力あるパフォーマンスや、生け花のライブパフォーマンスが披露され、茶道、浴衣の着付け、折り紙、書道、弓道、剣道、日本酒、絵馬の作成、豆つかみなど、多くの方に様々な日本の伝統文化に触れていただき、開会式では私の挨拶に続き、当時のダン・ブカレスト市長やバチウナ文化次官から温かい祝賀のお言葉をいただきました。

  ルーマニアでは演劇文化が盛んですが、その最たるものがシビウ国際演劇祭(FITS)です。今年は日本から俳優の佐々木蔵之介さん、山本能楽堂、日本大学芸術学部が参加し、私も彼らの演劇を拝見し激励させて頂きました。佐々木蔵之介さんはマリン・ソレスクの「Jonah」の一人芝居を演じるため1ヶ月以上シビウに滞在してプレカレーテ監督による演出指導の後、5月22日のシビウでのワールドプレミアを皮切りに、ブカレストを含め東欧各地をツアーし、FITSで欧州ツアーを終えました。この功績により佐々木さんはFITSのWalk of Fameを受賞しています。山本能楽堂はFITS参加が10年目となり、ブカレストでも由緒あるアテネ音楽堂で公演し、また、昨年東洋美術ギャラリーがオープンした国立美術館において能楽に関するレクチャーも行って頂きました。ブカレスト公演ではご自身も俳優であられるデメテル新文化大臣も鑑賞なさっておられ、偶然にも初めてお話しさせて頂く機会となりました。

  引き続き、ルーマニア各地への訪問も続けています。4月から6月にかけては、クルージュ・ナポカ、クライオバトゥルチャ、ブライラ、シビウ、セベッシュを訪問し、各県各市との対話を行ってきました。クルージュ・ナポカでは、5月9日、同市の「ルーマニア・日本協力センター」の開所式に出席しました。同センターが日ルーマニアのイノベーション協力、知的交流や共同プロジェクトを促進する拠点として機能し、同市と日本との協力関係を新たな高みへと導くことを期待しています。同センターが日ルーマニアのイノベーション協力、知的交流や共同プロジェクトを促進する拠点として機能し、同市と日本との協力関係を新たな高みへと導くことを期待しています。

  最後に、私は引き続き「ルーマニアを味わう」という試みを続けております。当館SNS視聴者に勧められたチョルバ・デ・ブルタやドナウデルタでのチョウザメのスープを味わい、セベシュでは茹でパパナシを食べ、そして初めてルーマニア料理制作にも挑戦し、サルマーレも作ってみました。引き続きルーマニア・グルメツアーは続けて参りますので、おすすめのご当地料理がありましたら是非ご意見をお寄せください。

  それでは、暑い夏、皆様くれぐれもお体を大切に。  

 
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駐ルーマニア日本国特命全権大使
 片江 学巳